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みらい塾(地産消費を実践するために)
 
 アルストロメリアの花言葉は「”未来への憧れ”。35年前、酪農家の実家から子牛1頭を連れて長谷村の農家へ嫁いで以来、多くの人と触れ合いながら農業をしていきたい」と思い続けてきた私の心に、この言葉がパーッと咲いた。15年前、夫の転職を機にアルストロメリアを栽培出荷する黒河内花卉組合を設立した。親しみやす「フラワーポケット」と命名。毎日見ているこの花から教わった心の持ち方。憧れと希望、夢を持って私達夫婦の、花卉栽培経営をやっていこうと、志を新たにした。2人の価値観の共通点は”自然から学ぶ。” 幸い婚家は、長谷村の丘陵地にあり標高900メートルであるが村内では平坦な土地がまとまって在った。

 近年この村は、”気の里”としてマスコミの取材が増えている。当然、黒河内和泉原に建つ我家とアルストロメリアのハウスにも天然の”気”が降り注いでいる。確かに都会近郊の花とは、花持ちや活きの良さが違うと評判だ。ここで生まれて育った夫と、その祖先は田畑を耕し、自給自足の生活の中で自然とどの様に関わってきたのか、私達現代人は、ハウスの湿度管理をしながら花を育てている。アルストロメリアの原産国は、アンデス山脈の麓だ。共通点があるかもしれぬ。長谷村で花を栽培していくには、まず古人がこのこの地の季節の自然とどの様に共存してきたかを知ることから始めた。厳しい冬と冷涼な夏。年間を通じてアルストロメリアとリンドウの栽培に最適な場所といいがたい事が幸いして、夫は肥料の研究に力を注いだ。施設園芸で一番大切なものは土が悪くなることによって起きる植物の生育障害の発生である。露地栽培と違って自然の雨にあたらない為に起こる塩類の集積も問題だった。ハウス内の土壌を長期間有効に使えるように有機肥料主体の施肥にすることに切り換えてきた。「人と触れ合う農業」を機に応じて口にしていた。環境に配慮した農業にっ関心を持っている人達が、不思議に集い、口コミとでもいうか、情報通が一堂に介し、様々な分野の頭脳が造りあげたといっても過言ではなく、”本当にすばらしい”堆肥が出来た。山の木々は、科学肥料をやらなくても大きな木となる。春になれば新芽を出したいようの光を受けて同化作用し、土壌から肥料を吸収しながら花を咲かせ、実を結ぶ。秋には落葉し、土壌中の微生物などにより分解されて肥料となり植物に吸収される。この繰り返しで大きく育っている。自然から再認識した循環型農業の基本である。夫は「有機栽培の農業に長い年月なネックだ。このサイクルを短縮凝縮化するには…」としばらく考えこんでいた。時々急に姿を消し、聞けば幼い頃、駆け廻っていた里山いえ行き神様と話をしていたらしい。周囲の自然から、様々なしくみを学んで来たようだ。この様な気づきと学びの後には、必らず人とのうれしい縁が生ずる。類は友を呼んだ。この地帯の水源は、山全体が石灰層のためアルカリの強い水が流れ、本来なら県花のリンドウには適さない。しかし堆肥づくりに没頭してきた事が運を呼んだ。知り合いの製材所の社長も地元出身で自然児。廃材を無料で提供してもらい、捨てられて半分位発行が進んだ樹皮をもらう事ができた。ツキがあると更にツキを呼ぶのか、樹皮の分解に必要で微生物活性に必須な栄養としての糖化粕も入手可能だった。樹皮1〜2tに対して糖化粕100kgに微生物のバックス2〜3kg。水分は樹脂の含有率より加減調整してPH強の賛成堆肥が完成した。夫の名、組合長名でネーミング。完全有機堆肥「あきら」は華々しくデビュー。今年の花まつりには、ハウス内で3年前にミニトマトが実をつけ30メートルにも成長し、お客様を大いに喜ばせた。小さいのにコクのある甘味とトマトらしい味が評判になり、後々、口コミで上伊那以外からも、ガーデニング、家庭菜園へと、商品、袋づめするのに大わらわだった。

 我家には、地元の農業広告、フランスの農業大学、インターネットで、農家経営、花づくり、農業体験と目的は各自様々だば10代から30代までの男女が研修にやってくる。1つ屋根の下で寝食を共にし皆、同じ汗を流す。母屋の囲炉裏で、つったイワナを焼きながら又は、我家の有機堆肥で成長した、とてつもなく大きく、甘いスイカを食べながら自分の農業に対する想いを語り合っていく。一人一人の研修生が点だとすると彼らは体験を情報にして手をつなぎ始め、ネットワークをつくる(線)。研修生の他にも都会の生活に疲れた大人や心を病んだ企業戦士が来て「こんな処でゆっくりしたいいなあ」とつぶやいた。私の中には、かつてグリーンツーリズムで訪れたヨーロッパの農家民宿の想いがあった。早速、築110年の、味噌蔵と米蔵を改造しフラワーポケッとの農家民宿「みらい塾」をつくった。お客様への食事は、できるだけ「地産地消」に心がける。

 年1回、アルストロメリアが大量に開花する3月下旬に、ここに訪れた人達が一堂に介する花まつりイベントを開く。点から線へそして面へと皆の気持ちが移動し、約1000人もの人が県内外から集う。人と触れあう農業が形になる瞬間。今年は「アルストロメリアの花とともに平和な未来を願う」をメインテーマに恒例の花狩り、お好みのアルストロメリアを自由に切ってもらうほか、地元で飼育しているホロホロ鳥を和風に調理した御膳を提供し、喜ばれた。他の地産は信州ソバの手打ちソバ、山鳥の雉(きじ)を出し汁にしたキジソバ、ホロホロ鳥の炊き込みごはんのオニギリに神様の食事と呼ばれる酵素玄米。全て素朴な味が好評で、来塾のお客様に、旬の味覚を沿えて召し上がっていただく。農業関係者の視察も年毎に増え、人数に応じて昼食のお膳やお弁当をお出しする。栗の葉や小枝、アルストロメリアの一輪を箸置きにしたりして調理人の私が、自然の恵みを心から楽しんでいる。農業婦人の視察は、口コミの影響が大である。自然の中で正しく他の生命と調和して、共に生きている人達と出合う時は、何のてらい、気負いがなくて広がりが大きい。その上、実践体験があるから即、応用できる。ガーデニングブームにあやかって、「私も花の寄せ植えを楽しみたい。美しく咲き、長く楽しむためには良い土を使いたい。」と、堆肥「アキラ」をドカーンと購入していく。フラワーポケット自慢の完全有機堆肥は、人や環境にやらしく栄養満点だから、初心者でも簡単に寄せ植えできるのが魅力だという。名前の”アキラ”が女性にモテモテの元かもしれない。

 主の花卉栽培に対する考え方を長男が学びバイオテクノロジーの先進的考察を父親にも説明している。干ばつの夏な-。秋には何をのたらし、冬のハウス栽培はどんな影響が生じてくるのか、露地栽培については等、白熱する2人の隣で聞いている母親の耳には「みらいへの憧れ、みらい塾」と聞こえてくる。人に喜ばれ、消費者が安心できる作物を造りたいという想いは、私が常に感じている「身土不二」「風土食」「医食同源」という言葉で表せる。齢を重ねる毎に、この言葉に私が、今年1年どれほどの中身をう容れたのかと思う。未来の農村は、おいうより今、脚光を浴びている、”気の里”長谷村は、自然と共存し、人との出会いが、点から線へ、そして、人的交流、物的交流、精神的交流の面となって更に大きく広がっていくと確心している。気の里は、空気の味が違うと感じる。一味違う良さをアピールすること。その点を感じてくれた人と一緒に面づくりを起こす。

 年齢を重ねた木の根が深くなり大きく葉を広げるようにこれからの農業は、自然から学び、自然の一部分の小さな存在でしかない私達人間が共に学び合い育っていく事ではないかと思う。


 
 
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